観客の好意に甘えたヌルい映画。「大日本人」松本人志 | 忍之閻魔帳

忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)


■DVD:「大日本人」

本当にこんな物が撮りたかったのだろうか。

何故、松本人志という人物が映画を撮ることにしたのか
最後の最後まで見出せないまま映画は終わってしまった。
編集がマズいの、カメラワークが最低だのという枝葉の部分も
相当に酷いが、それ以前に1本の映画として完成していない。
徹底的な情報規制は、公開前に悪評が立つ事を
防ぐための戦略だったのではないかと勘ぐりたくもなる。

映画は、どこからともなくやって来る怪獣を倒す使命を背負った
「大日本人」の6代目である大佐藤大(松本人志)の姿を、
彼が活躍する様子を放映しているテレビ番組スタッフが追う
ドキュメンタリー番組風の作りで、松本演じる大佐藤と
姿の見えないスタッフとの掛け合いをメインに、
時折怪獣との戦闘シーンが挿入される。

私が最も引っかかったのは、
かつてテレビ番組やビデオ等で発表して来たコントの残像を
チラつかせるだけで充分映画になると踏んでいる見込みの甘さである。
「映画」という全く別の世界に勇んで飛び込んで来ながら、
結局、「芸人・松本人志」の知名度と普段の交友関係、
観客の松本に対する好意に依存しているのだ。
笑える部分が無い訳ではないが、
台詞や演技が上手いわけではなく、「あの人が怪獣になるとは」という
シチュエーションを面白がっているに過ぎない。
海原はるかの扮する怪獣が髪を振り乱して面白いのは
普段の海原はるかの芸が面白いというだけのことである。
板尾創路を始め、キャスト全員が「役柄」としての意味を持っておらず、
ただただ、「松ちゃんを喜ばせるためにおかしな格好をしている状況」を
延々2時間も観せられるのである。

それにしても、「あ、海原はるか師匠だ」
「あ、板尾だ」と気付かなければ笑えないような代物を
よくカンヌに持っていったものだ。
私は、「人志松本のすべらない話」のDVDは2作とも持っているし、
ネット配信された「Zassa」も263円支払って見た。
「寸止め海峡」や「頭頭」も見た。
「爆笑」とは違う、松本特有の「含み笑い」のセンスは
好きな方だと自覚してもいる。
そんな私ですら、この「大日本人」は受け入れ難かった。
「テレビで見掛けるダウンタウンが好き」程度の方が観に行くと
痛い目に遭うことは間違いない。
松本人志のことが好きで好きで、彼のやることなら
全て好意的に受け止めることが出来るという自信のある方以外は
素直にレンタルまで待つべし。

吉本は製作費10億円を負担したらしいが、
松本は素直にお笑いに専念させて、浮いた分はジミー大西に回してやってくれ。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:大日本人
    配給:松竹
   公開日:2007年6月2日
    監督:松本人志
    出演:松本人志、竹内力、UA、他
 公式サイト:http://www.dainipponjin.com/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
スペードAmazonモバイルはこちらから
ハートAmazonベストセラーランキング(ゲーム)
ダイヤ人気商品を値下げ!新作ゲームを一斉値下げ
クラブ売り切れ御免!最大70%OFF DVD在庫処分セール