もう少し間口を拡げれば大化けも。PSP「無限回廊」 | 忍之閻魔帳

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ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)


■PSP:「無限回廊」

「今週発売の主な新作」の中で紹介していると
予想外に長文になったので、急遽単独記事に切り替えてお届けする。

大ヒットとなったのは「I.Q」「XI[sai]」ぐらいなので
あまりそういう印象はない方も多いと思うが、
SCEは実はパズルゲームの良作・佳作をかなりの数リリースしている
パズルゲームジジィな私には有り難いメーカーである。

そんなSCEからPSPで発売されるのが「無限回廊」。
言葉で説明するのが難しいタイプのパズルゲームなので、
まずはこちらの動画をご覧いただこう。



結論から言ってしまうと、今回PSPで発売される(PS3は配信限定)
「無限回廊」は、「I.Q」や「XI[sai]」などの傑作ではなく、
「KulaQuest」や「アディのおくりもの」などの佳作に属する作品である。

佳作止まりになっている最大の原因は、面白さを伝える手段が下手過ぎること。
SCEの某氏は本作について「数時間も遊べば面白さが分かる」と言っていたのだが、
面白さに気付くまでに数時間もかかる時点で、パズルゲームとしてはダメなのだ。
「無限回廊」は、言わんとする事は分かっているのに出来ない、というジレンマを
1面からユーザーに背負わせており、これでは敷居が高過ぎると思う。


■PSP:「レミングス」

良いパズルゲームというのは、最初から数ステージは
「私を馬鹿にしているのか」と感じるほど簡単なステージから始まり
徐々に難易度が上がっていくという手順を必ず踏んでいる。
PSPで発売中(PS3版も配信中)の「レミングス」などはその典型で、
最初のうちは出せる指示が2、3種類に限定されており、
徐々に思考・操作が複雑化していくというバランス調整がなされている。

「無限回廊」には、この初心者向けの噛み砕きという作業が欠けている。
欠けている、というのは言い過ぎかも知れない。
正確には「まだ足らない」。
これが前作をクリアしたユーザーに向けた「無限回廊2」ならば分かる。
しかし、オリジナル新作のパズルゲームならば
回転する角度をルービックキューブ並みに制限するなり
マップを思い切り簡略化するなり、
もっと徹底的に分かり易くする必要があったのではないか。
「無限回廊」のとっつきにくさを他のパズルゲームで説明するなら

・「テトリス」を遊ぶ前に「テトリスグランドマスター」を遊ぶようなもの
・「ぷよぷよ」を遊ぶ前に「ぷよぷよSUN」を遊ぶようなもの
・「XI[sai]」を遊ぶ前に「XI JUMBO」を遊ぶようなもの

果たして3つも並べる必要があったのかどうかは不明だが、とにかくそういうことである。

システムそのものは、PS1時代には実現が難しかったであろう
2008年ならではのオリジナリティの高いパズルゲームなので、
操作方法やステージ構成、難易度調整などを徹底すれば
大化けも期待出来たと思うのだが、残念ながらこれではキツい。
動画を見ている時の楽しさが、実際にプレイした時に倍増するどころか
半減してしまっては体験版も逆効果にしかなるまい。

プレイ後、いっそ「ピタゴラ装置 DVDブック」のように
次々とステージをクリアする動画を収録したDVDを出して欲しいと思ってしまった。
全100ステージ分の映像で2800円ぐらいまでなら出すが、どうだ、SCE。

冒頭でも述べた通り、あくまでも初心者には手強過ぎるというだけで
パズルゲーム好きにとってはけっこう遊べる作品なので、
最近、脳のしわが伸びて来ていると感じるジジィゲーマーは、
ハードなリハビリツールとしてお勧めしておこう。

ついでに、もう少し間口を拡げた続編の登場希望。
上手く育てれば、いずれ大きな花を咲かせる予感がする。

*当BLOGでの新作紹介は、
 1:あくまでも開発途中のROMを使ってのプレイであること。
 2:数分のプレイによる第一印象に過ぎないこと。
 3:発売までに内容変更の可能性もあること。
 を予めお断りしておく。
 簡単に言えば、「あまりあてにしないでくれ」ということだ。


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  タイトル:無限回廊
  メーカー:SCE
   発売日:2008年3月19日
    価格:3,980円(税込み)
 公式サイト:http://www.jp.playstation.com/scej/title/mugen/
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