色と音が生み出す、不思議な高揚感。Wii「ブロブ: カラフルなきぼう」 | 忍之閻魔帳

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ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)

「まだ誰も救助に向かっていません」というメッセージを見続けて3日。
仕方なく(失礼)、同時に買ったWii「ブロブ」に手を出すことにした。
 

発売中■Wii:ブロブ: カラフルなきぼう


パッと見てお分かりの通り、売る気ゼロのパッケージである。
「ブームブロックス」といい、なぜ海外のメーカーはこうなのか。
CDに「ジャケ買い」という購入動機があるように、
ゲームにも、「買いたくなるジャケット」というものがあると思う。
仮に海外ではこのデザインがバカウケしているのだとしても、
日本で出すなら、好みの違いを考慮したデザインというものがあるはずだ。
というわけで、発売間もないにも関わらず
このままひっそりと消えていきそうな「ブロブ」を紹介してみたい。
毛色の変わった作品をお探しのWiiユーザーならば、
一度は遊んでおくことをお勧めする。

 

 

Wii「ブロブ:からふるなきぼう」は、
マップ構成や敵のバリエーションではなく、「色」と「音」を使って
新しい快感を生み出すことに成功した、箱庭型の3Dアクションである。
「ジェットセットラジオ」からスピード感を減らし、
レア社のアクションに通じるやり込み要素を加えた作品、と言うと
さすがに例えが乱暴過ぎるか。

操作はWiiリモコンとヌンチャクを使用。
基本となるアクションは、

・コントロールスティック:移動
・Wiiリモコンを振る:ジャンプ
・Bボタン:ストップ(移動中)、または着地(ジャンプ中)
・Zボタン:敵のロックオン
・ロックオンした後にWiiリモコンを振る:敵を踏みつける
・十字キー:視点移動

他のボタンも使用するが、これだけ覚えておけば充分。
スタートしてすぐのブロブは透明なボディをしているので、
近くにいるインクボット(動くペンキロボのようなもの)を踏みつけて
体内に色を吸収し、色を持たない寒々しい街並に色を塗っていく。
塗っていくとは言っても特別な操作をするわけではなく、ただ単にぶつかれば良い。
「片っ端から色をなすりつけていく」という方が近いかも知れない。

インクボットには赤・青・黄の3色が存在しており、
赤を吸収した状態で青を追加吸収すると紫に、
赤を吸収した状態で黄を追加吸収するとオレンジに、
青を吸収した状態で黄を追加吸収すると緑にといったように
色のブレンドが出来る。

また、ブロブが建物やアイテムに色を塗ると、
その時に吸収しているボディカラーによって効果音や楽器の音色が変化するのだが、
これがステージに流れるBGMと混ざり合うと
自分だけの音楽を奏でているような、不思議な快感を生み出す。
真っ白な壁に向かってペンキをぶちまけるように、
思うままに色を塗っていくだけで、街は少しずつ華やかさを取り戻し、
その華やかさが、プレーヤー自身にも不思議な高揚感を与えてくれる。

ストーリーモードにはクリアのための目標が設定されているのだが、
普通にプレイしていれば気にする必要がないほど低めに設定されている。
クリアだけを目的とするなら数分で達成可能でも、街に住む住人達の救助や、
彼等の依頼を片っ端から全て引き受けていくと、どんどんボリュームが増していく。
私の場合、ステージ3のクリアに1時間以上かかった。
(看板や救助などをほぼパーフェクトにこなし、ゴールドメダルでのクリア)

ステージクリア後に得られるメダル(ブロンズ、シルバー、ゴールド)によって、
ミニゲームや特典映像などが追加されていく仕組みになっている。
この辺は「ブームブロックス」でもお馴染みだ。
各ステージに追加されるミニゲームは、
「2分以内に目的の場所に辿り着け」
「2分以内に決められた色でビルを塗れ」など
短時間でクリア可能なスコアアタック的なものが用意されている。

ここからは気になった点をいくつか。

まず、壁から壁へ飛び移る操作が難しいこと。
「ブロブ」では着地せずに塗り続けることでボーナス点が加算されるため
高得点を目指すならこの技は必須になってくるのだが、どうにもやりにくい。
私がヘタッピだと言うことを差し引いてもやりにくい。
いいや、絶対にやりにくい。
Wiiリモコンとの相性にも問題がありそうなので、
出来ればクラシックコントローラー対応にして欲しかった。

次に、上でも書いたように、ステージクリアまでの時間がかかり過ぎること。
ゴールドメダルを目指さなければ良いだけの話とはいえ、
ブロンズやシルバーで次のステージに行くのは心残り。
ステージ1は20分、ステージ2は45分程度と倍増した所用時間は、
ステージ3でついに1時間以上になってしまった。
アクションゲームとして考えた場合、これはやはりかかり過ぎだと思う。
「ちょっと遊びたければミニゲーム」と考えられなくもないが
そのミニゲーム自体、ゴールドメダルでクリアしなければ
全ては出現しないため、結局はストーリーモードに重点を置くしかない。
ストーリーモードと同じマップで、敵や時間的な制約を設けず、
自由にペイントしまくれる「フリーモード」が非常に楽しいのだが、
これもストーリーモードでクリアしたマップのみ解禁される仕組みになっているので
やはり途中セーブを用意して欲しかった。

その他にも、ステージマップが欲しかったことや、対戦が今ひとつなこと、
Aボタン長押しのヒントが分かり辛いなど、細かな不満もいくつか見受けられた。

不満点は挙げたものの、この楽しさはアクションゲーム好きなら一度は味わって欲しい。
対戦モードの出来からして、接客用にはあまりならないので
ひとりで腰を据えてアクションゲームをやり込みたい方に。
特に、プチプチを隅々まで全て潰さなければ気が済まないような
変なこだわりを持っている方(=私なわけだが)なら最適だ。

任天堂はこういうソフトにこそ自社のキャラクターを貸し出して
コラボレーションするべきではないか。
SSXやNBAにマリオファミリーを貸し出すぐらいなら、
「ブームブロックス」や「ブロブ」にマリオやカービィを貸し出した方が
内容的にもマッチしているし、Wiiのソフトラインナップにおける
コアユーザー向けのソフト不足解消にも一役買ってくれることは間違いない。

発売中■Wii:ブームブロックス


【紹介記事】お片づけ不要のスーパー積み木遊び。Wii「ブームブロックス」

「Wii Sports」や「マリオギャラクシー」がWiiを代表する表番ソフトであるなら、
今回紹介した「ブロブ」と「ブームブロックス」は2大裏番ソフトである。
光射すところ常に影あり。

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  タイトル:ブロブ:からふるなやぼう
  メーカー:THQ
   ハード:Wii
   発売日:2008年11月13日
    価格:6,090円(税込み)
 公式サイト:http://gamesites.thqgame.jp/products/Blob/index.html
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