2019年放送(配信)連続ドラマ総まとめ | 忍之閻魔帳

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▼2019年放送(配信)連続ドラマ総まとめ

 

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【関連記事】映像系サブスクリプションサービスまとめ2019(2019年10月11日最新版)

 

2019年はNetflixやAmazonプライムといった配信サービスが

潤沢な資金を使ってオリジナル作品の製作を加速させ、

地上波のドラマ映画興行を脅かす存在へと成長した一年だった。

スポンサーのいる地上波では倫理的に放送することが難しい内容でも

大手事務所の横槍に振り回されることないキャスティングで

自由に作ることができるのだから、

多くの監督や俳優が参加に意欲的なのも当然と言えるだろう。

製作費においても桁が違っていて、「全裸監督」などは1話で1億円かけたとか。

こうなるともはや太刀打ちは不可能で、

地上波のドラマは手堅く数字が見込める

刑事モノか医療モノが大半を占める守りの陣を組むしかない。

地上波を駆逐することを目指すNetflixと

地上波との連携を強化するHuluで大きく明暗を分けたのも、

テレビの衰退を象徴している。

面白いドラマや映画は配信でしか見られなくなる時代が

もうすぐそこまで来ているのかも知れない。

 

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<2019年 連続ドラマ 平均視聴率ランキング>

 

01位:18.39%「ドクターX ~外科医・大門未知子 第6シリーズ~(テレ朝)

02位:14.61%「相棒 season 18」(テレ朝)

03位:13.17%「緊急取調室 3」(テレ朝)

04位:12.47%「監察医 朝顔」(フジ)

05位:12.37%「グランメゾン東京」(TBS)

06位:12.92%「特捜9 Season 2」(テレ朝)

07位:12.05%「ラジエーションハウス」(フジ)

 

08位:11.82%「ノーサイト・ゲーム」(TBS)

09位:11.80%「科捜研の女」(2クール)(テレ朝)

10位:11.65%「刑事7人 シーズン 5」(テレ朝)

11位:11.54%「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」(日テレ)

12位:11.44%「家売るオンナの逆襲」(日テレ)

13位:11.30%「刑事ゼロ」(テレ朝)

 

14位:10.95%「サイン ~法医学者 柚木貴志の事件~」(テレ朝)

15位:10.94%「ボイス 110緊急指令室」(日テレ)

16位:10.89%「同期のサクラ」(日テレ)

17位:10.60%「トレース ~科捜研の男~」(フジ)

18位:10.56%「ハケン占い師アタル」(テレ朝)

19位:10.33%「集団左遷!!」(TBS)

20位:10.31%「偽装不倫」(日テレ)

21位:10.25%「メゾン・ド・ポリス」(TBS)

 

22位:9.94%「凪のお暇」(TBS)

23位:9.77%「シャーロック」(フジ)

24位:9.70%「わたし、定時で帰ります。」(TBS)

25位:9.69%「グッドワイフ」(TBS)

26位:9.34%「まだ結婚できない男」(フジ)

27位:9.25%「あなたの番です」(2クール)(日テレ)

28位:9.16%「インハンド」(TBS)

 

平均視聴率が2桁に乗ったのは21本と

昨年の10本に比べて倍増しているが

定番シリーズをいくつも持つテレ朝が

お馴染みのシリーズをお馴染みの枠に手堅くはめ込んでいただけで

いわゆるブームを巻き起こした作品は生まれなかったように思う。

テレ朝はトップ3の独占の他に上位10作品に6本を送り込むなど

固定視聴者を多く持つ特性を最大限に活かした編成で他局を圧倒。

フジテレビはテレ朝の手堅さを真似て

若年層向けの月9で医療・刑事モノを投入してやや復調し、

TBSは「半沢直樹」の日曜9時枠で恋愛ドラマを展開するなど

各局で模索が続いた1年だった。

 

印象的なのは、かつては視聴率男と言われた

木村拓哉主演の「グランメゾン東京」が12%台で5位、

結婚するかどうかがアミューズの株主総会で質問になるほどの

女性ファンを獲得していた福山雅治主演の「集団左遷!!」が

10%台で19位に沈むなど、栄枯盛衰が鮮明になった年でもあった。

 

今年はベストテン形式ではなく、特に印象に残ったものだけを取り上げてみる。


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『チャンネルはそのまま!』

 

HTBの開局50周年を記念して制作されたローカルドラマ。

北海道地区にて5週に渡って放送されたのと同時に

Netflixでは全話一挙配信になったのも話題。

 

原作は札幌のローカルテレビ局・北海道★テレビを舞台にした

佐々木倫子の同名漫画で、HTBの全面協力の下、局内をフルに使って撮影がされている。

主人公・雪丸花子には「累」の芳根京子。

共演には飯島寛騎、ヨーロッパ企画、東京03らが出演。

北海道と言えばのTEAM NACSは大泉洋、森崎博之、安田顕、

戸次重幸、音尾琢真のメンバー全員が出演して盛り上げている。

演出は「踊る大捜査線」「幕が上がる」の本広克行。

 

真面目な顔にツッコミの文字をはめこむ佐々木倫子ノリが

ほぼそのまま実写化されていて再現度の高さに驚く。

バカバカしさの中にほっこりするエピソードを滑り込ませる上手さもそのまま。

芳根京子のおとぼけ芝居も思いの外ハマっていて

佐々木テイストを残しているし、有名過ぎないキャスティングも功を奏して

ローカル局ならではの悪戦苦闘ぶりが楽しい。

「バードマン」のエマニュエル・ルベツキを思わせる長回しなど

本広監督ものびのびと楽しみながら作っているようで、肩の凝らない良作。

 

正直、ここまで原作テイストを残した作品の後に

なぜ同じ佐々木原作の「Heaven?」が

あんなことになってしまったのか不思議でならない。

TBSのスタッフは猛省して欲しい。


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02月19日発売■Blu-ray:あなたの番です

 

『あなたの番です』

 

民放のドラマでは珍しい2クール編成で放送されたミステリードラマ。

後半の反撃編から数字を上げてきたものの、全話の平均視聴率は9%台で

今年の27位と成功とは言い難い結果となった。

ここ数年日テレが推進している配信事業(Hulu)との連携を活かして

毎週Huluで個々の登場人物にスポットを当てたスピンオフドラマを配信し

SNS界隈では盛り上がったが、数字には反映されなかったようだ。

 

なんだかんだとHuluで追いかけながら2クール最後まで見たのだが

脚本の下手さをキャラの濃さで逃げ切ろうという意図が

透けて見えすぎたのが残念だった。

また、地上波放送の本編だけでは言葉足らずになっている

人物の背景事情を全てHuluのスピンオフに担わせていたため

地上波オンリー派とHuluまで追う派でかなり感想が異なっていたのではないかと思う。

日テレとしては少しでも多く有料契約に結びつけたいのだろうが

肝心の地上波のコンテンツが単体では未完に思えるほど魅力を削いでは本末顛倒。

いっそのこと昨年の「ミス・シャーロック」のように

「Huluオリジナルドラマ」として放送していれば、

殺害部分の演出をマイルドにする必要もなかったろうし

1話ごとの尺の長さに縛られることもなかったろうし、

数字ばかりが取り沙汰されることも無かったろう。

企画自体は面白かったが中身が伴わなかった惜しい作品。


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発売中■Blu-ray:3年A組 ―今から皆さんは、人質です―

 

『3年A組 ー今から皆さんは、人質ですー』

 

菅田将暉主演の学園ドラマ。

校内に生徒を軟禁し、警察やマスコミも巻き込んで

大騒動を引き起こした教師の真意とは。

大雑把に言えば「告白」「青い鳥」「悪の教典」「ソロモンの偽証」の4本を混ぜて

再構築したような作りなのだが、オリジナリティはさておき良く出来ている。

菅田将暉が生徒達とのバランスをみて芝居を抑えているのが良くわかり、

全体を見通した芝居の緩急のつけ方はもはや椎名桔平らと並ぶポジション。

 

生徒役は朝ドラを終えたばかりの永野芽郁、

「義母と娘のブルース」も大ヒットした上白石萌歌、

「花のち晴れ」で杉咲花と並ぶほどの人気を集めた今田美桜、

「怒り」で純朴な少年を演じ強烈な印象を残した佐久本宝、

AKB卒業組の中でも比較的女優業も順調な川栄李奈、

「ソロモンの偽証」で鮮烈なデビューを果たし、

「宇宙を駆けるよだか」でも好演が光っていた富田望生など

伸び盛りの若手を多数起用してバランスも良かった。

 

SNS時代に相応しいドラマだが、問題提起というにはいささか

メッセージの内容と表現法が安易過ぎて年寄りとしては気恥ずかしくなってしまった。

まぁ、ティーン向けなのでこれぐらいの方が良いか。


発売中■Blu-ray:監察医 朝顔 Blu-ray BOX

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『監察医 朝顔』

 

「全裸監督」と悩んむが、どちらか1本を選べと言われたら

やはり今年の1番のドラマはこちら。

1話完結のエピソードと全話を通したエピソードを並行して進行する

良くある医療ドラマなのだが、1話のラストで主人公が311の

生存者だとわかるや、ネットでも様々な感想が寄せられた。

「まだ早い」「忘れないためにはやるべき」と賛否はあったようだが

2011年からの8年間には、熊本もここ大阪も大きな地震の被害はあったし

岡山や広島など大雨で甚大な被害が出たところもある。

日本に住む私たち全員が、このドラマと同じ環境になる可能性を秘めながら

日々生活をしているわけで、テレビから目を背けたところで

現実が押し寄せてくる可能性は消えない。

もちろん、見ない自由はある。

しかし、私はこのドラマを見て心の底から良かったと思った。

 

トラウマを抱えながら監察医として生きる上野樹里が絶品。

泣き叫ぶわけでも激昂するわけでもなく

努めて平静を装うことで心の中が大きく揺れているのが

手に取るようにわかる芝居は彼女のキャリアの中でも最高かもしれない。

娘を見守る一方で自身もまだ妻を諦められない時任三郎の暖かさ、

おろおろするばかりなのに何故か朝顔にはぴったりと思える風間俊介の軽さ、

ほんの少ししか出てこないにも関わらず泣けてくる石田ひかりの明るさが

ドラマを包み込んで、悲しいけれど優しさの塊のような作品になっている。

唯一、山口智子が朝ドラと全く同じ芝居をしていたことだけが残念。


02月07日発売■Blu-ray:凪のお暇 Blu-ray BOX

 

『凪のお暇』

 

「凪のお暇」と「わたし、定時で帰ります。」は

どちらもTBSで枠も同じなだけあり

ターゲットもメッセージも似ていて、しかもクオリティが高い。

好みの差(と言っても僅差)で「凪のお暇」にした。

 

放送前は黒木華のイメージが原作とは少し違っていたので

不安もあったのだが、始まってしまえばすぐに違和感はなくなった。

高橋一生や中村倫也といったイケメン俳優が

なぜ凪のような地味な女性に惹かれてしまうのか

その理由を黒木華がちゃんと体現しているので

現実離れしたシンデレラストーリーには見えないし、

ドラマの中で語られるエピソードや主人公の悩みが等身大で無理がない。

友人になる市川実日子や、同じアパートに住む謎の老婆の三田佳子など

脇にも存在感抜群のキャラクターが多数いてバランスも良かった。

 

高橋一生のダメ男っぷりと、

中村倫也の無自覚に女性を堕落させてしまう魔性の男っぷりが

どちらもハマっていて、高橋のへたれ加減には毎回大笑いしていた。

 

ちょっと女性視聴者にターゲットを絞り過ぎかとも思うが

殺伐とした刑事モノや命の重さを考えさせられる医療モノが

乱立した今年のドラマ界において本作と「わたし、定時で帰ります。」は貴重。

耳障りの良い「女性の活躍する社会」の理想と現実に挟まれて

疲弊している女性にとっては、これ以上ない清涼剤になったのでは。

 

発売中■Blu-ray:わたし、定時で帰ります。


発売中■Blu-ray:きのう何食べた?

 

「おっさんずラブ」の大ブームにより地上波でも増加傾向にある

LGBT系の作品の中で、ありふれた日常生活を描いたのが「きのう何食べた?」。

よしながふみの描く原作のテイストをかなり上手く再現していて、

特に西島秀俊は本当にコミックから抜け出たかのよう。

私的には内野聖陽の芝居が味付けが濃く、

「おっさんずラブ」の吉田剛太郎ほどではないにせよ

コミカル芝居が過ぎるかなとは思うが、まぁ許容範囲内。

 

日常系のストーリーに料理が混ざった、テレビ東京の飯テロドラマの路線にも

うまくマッチして、年明けに早速スペシャルドラマが作られらのも納得。

その気になればいくらでも続けられるストーリーなので、

「孤独のグルメ」のように細く長く続けて欲しい。


 

【紹介記事】Netflix「全裸監督」山田孝之は日本のディカプリオになるのかも知れない

 

『全裸監督』

 

視聴環境を激変させるに足る熱量に圧倒された、2019年を代表する1本。

地上波では放送出来ない過激さ、映画では尺が足らないこの物語は

国内テレビ局が運営するHuluやFODでも無理だったろう。

主演は山田孝之。共演は満島真之介、玉山鉄二、余貴美子、吉田鋼太郎、

國村隼、小雪、石橋凌、リリー・フランキーと映画顔負けの豪華さ。

このキャストに囲まれて、伝説の女優・黒木香を演じる森田望智が大熱演を見せてくれている。

監督は「百円の恋」で安藤サクラに日本アカデミー主演女優賞をもたらした武正晴。

 

山田が演じるのは、私達の世代ならば絶対にお世話になっているであろう村西とおる。

お上品な言葉遣いからは想像もつかない突拍子もない演出のAVを次々と仕掛け

アダルト業界を席巻した風雲児である。

ホラ貝を吹きながらのプレイなど、伝説として語り継がれる珍作も多い。

この「ナイスですね」の村西を演じる山田がとんでもない怪演ぶり。

気弱な営業マンが先輩の助言でみるみる自信を付け、

妻の不貞をきっかけに復讐とも思える熱意でビニ本業界に殴り込みをかける。

生まれながらの詐欺師かと思うほど流暢なセールストークと

警察すら抱き込もうとする大胆な戦略であっという間に億単位の金を稼ぎ出す

村西の欲深さ、思慮深さ、セックスへの飽くなき探究心を

見事なまでに演じていて、そのエネルギッシュな芝居は

「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のレオナルド・ディカプリオを見ているようだった。

 

スポンサーの顔色を見ながらジャニーズと吉本に忖度したキャスティングで

医療モノか刑事モノか恋愛モノしか作れなくなってしまった

地上波のドラマスタッフが不憫になるレベルの大傑作。

今後こんなクオリティの作品を連発されたら、

間違いなく日本のドラマ作りは根底からひっくり返されてしまうだろう。