もう続けなくて結構。映画「バイオハザードIII/バイオハザード3」 | 忍之閻魔帳

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バイオハザード3
(C) 2007 Sony Pictures Entertainment (J) Inc. All Rights Reserved.

シリーズ完結とも言われている
劇場版「バイオハザード」シリーズの第3弾がいよいよ今週末公開される。
もともと緻密なストーリーではなかった同シリーズだが
今回の暴走ぶりは過去最高レベルに達しており、
ホラー映画ファンにとってもゾンビ映画ファンにとっても
「バイオハザード」ファンにとっても、
色々な意味で話題を振りまきそうな作品に仕上がっている。

【あらすじ】

ラクーンシティでの惨劇から数年後、「T-ウィルス」は世界中に拡散し
地球は大量のアンデットと少数の人間が生きる砂漠の世界と化していた。
全ての元凶であるアンブレラ社は「「アリス計画」を始動、
活動の拠点を地下に移し、アリスのクローン実験が行われていた。
一方、本物のアリスはアンブレラ社の監視衛星から逃れることに成功、
「T-ウィルス」の感染が及ばないという
安息の地アラスカを目指し、独り漂流生活を送っていた。
旅の途中、離ればなれになっていたカルロス達とも無事合流し、
共にアラスカを目指す一行だったが、アンブレラ社の監視衛星が
アリスの居所をキャッチしてしまう・・・

主演は、アリスがまさに当たり役となったミラ・ジョヴォヴィッチ、
監督は「ハイランダー 悪魔の戦士」のラッセル・マルケイ。
「アポカリプス」で活躍したシエンナ・ギロリー演じるジル・バレンタインは
残念ながら今回は登場しない。


ミラ・ジョヴォヴィッチ演じるアリスは
前作の最後で超能力少女(少女という年齢ではないか)と化しているため、
本作では最初から最後まで圧倒的に強い。
人間離れした主人公が、荒廃した砂漠世界で弱い者のため闘う姿は、
さながら「女・ケンシロウ」状態となっている。
閉鎖された空間に大量のアンデットを配置し、
時間制限で緊張感を高めていた初代「バイオハザード」から
単調なドンパチに終始していた「アポカリプス」と来て、本作は「北斗の拳」。
映画版の「バイオハザード」は一体どこを目指しているのか。

ラクーンシティから砂漠のラスベガスに舞台を移すのはいい。
しかし、(設定を読む限り)たった数年で世界が砂漠化するには
世界中でかなりの混乱があったはずなのだが、そういった説明は無い。
アラスカが感染の及ばない安息の地という設定もいいだろう。
しかし、無人のガソリンスタンドで拾った1冊のノートに書かれた
悪戯書きとも取れるその一文を「確かな情報」だと証明する手がかりは無い。
ジルがどうなったのかも説明は無い。
ロメロ監督の「ランド・オブ・ザ・デッド」では、アンデットと人間の力関係や
ゾンビと人間が共存する社会の構図、アンデットを利用して生きる
人間の狡猾さや欲深さが描かれていたのだが、そういった類いの説明も一切無い。
まるでゲームのように簡単に手に入る情報やアイテム、
説明が無いというより、単に細かいことは何も考えず
勢いだけで脚本を書いたようにしか思えない。

アリスが大量のカラスを一瞬にして灰にするシーンは見応えがあるが、
アリスが超能力を使えばたちどころに敵を一掃出来るなら
人間達が弾数を気にしながら銃を持って闘う必要がどこにあるのか。
アリスに全てを任せて素直に隠れていれば良かろう。
「1」も「2」も、ゾンビはまだ「恐ろしいもの」として描かれていた。
今ほど強くなかったアリスの、下手をすればやられてしまいそうな危うさが
緊張感となって映画を成立させていたのだ。
しかし、本作のゾンビはアリスに吹き飛ばされるための存在に成り下がり、
恐ろしさなど微塵も感じない。ゾンビ映画としては完全に破綻している。

次回作も作る気マンマンの終わり方をしているのでおそらく作るのだろうが、
私としては「もう続けなくて結構」という気持ちで一杯である。
「1」「2」と観続けて来た方で、どうしても劇場で観たい方以外は
素直にレンタル化されるまで待つべし。
それでも観るという方は、前2作を見返しておくと
冒頭の演出やストーリー展開がより分かり易くなって
いくらかは楽しさがアップするので予習をお勧めしておこう。

【バイオハザード関連商品】


■Wii:「バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ」
■Wii:「バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ エキスパートパッケージ」

Wiiで発売されるシリーズ最新作。
11月15日発売予定。
ガンシューティングのスタイルを採用していながら
ストーリーにもかなり力を入れて作っているとのこと。個人的にも期待大。


■GC:「バイオハザード コード:ベロニカ 完全版」
■GC:「バイオハザード 2」
■GC:「バイオハザード 3 ラストエスケープ」

11月下旬に再販の決定したGC版3作。


■DVD:「バイオハザードII アポカリプス スペシャル・エディション」
■DVD:「廉価版・バイオハザードII アポカリプス」
■BD:「バイオハザードII アポカリプス」

【紹介記事】よりゲームに近づいた「バイオハザード2 アポカリプス」

劇場版シリーズ2作目。
「スペシャルエディション」は「3」の公開記念に特典映像などを追加して
リニューアルされた「スパイダーマン 2+1」に似たような仕様。
1500円の廉価版とBD版も発売中。
映画の内容については上記リンクの過去ログにて。


■DVD:「廉価版・バイオハザード」
■HD DVD:「バイオハザード」

シリーズ2作目からソニー・ピクチャーズ配給になっているが
実は初代は東芝エンタテイメント(現ショウゲート)の配給であった。
「アポカリプス」のみ発売され、肝心の「1」がBD化されていないのは
そういう理由からである。
12月21日にHD DVD版が発売予定。
メーカー間の下らないシェア争いの煽りを喰らうのが
熱心なファンという構図はどうにかならんか。
BD版でコンプリートボックスが発売される日を夢見て。


■DVD:「ランド・オブ・ザ・デッド」

【紹介記事】ロメロからの遺言「ランド・オブ・ザ・デッド」

記事中で紹介したロメロの「ランド・オブ・ザ・デッド」。
映画の内容については上記リンクの過去ログにて。

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  タイトル:バイオハザードIII/バイオハザード3
    配給:ソニー・ピクチャーズ
   公開日:2007年11月3日
    監督:ラッセル・マルケイ
    出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、オデット・フェール、マイク・エップス、他
 公式サイト:http://www.sonypictures.jp/movies/residentevilextinction/
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