血飛沫にご用心。「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」 | 忍之閻魔帳

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■BD:「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」
■DVD:「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 プレミアム・ボックス」
■DVD:「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 特別版」

「シザーハンズ」「スリーピーホロウ」「チャーリーとチョコレート工場」など、
いくつもの名作を生み出して来たティム・バートン&ジョニー・デップ。
6作目のタッグとなる本作は、過去作品のエッセンスを凝縮した
ティム・バートン節全開の作品に仕上がっていた。

【あらすじ】

貧富の格差がますます広がる19世紀のロンドン、フリート街。
美しい妻ルーシーと生まれたての愛娘ジョアンナに囲まれ
幸せ一杯の理髪師ベンジャミン・バーカーは
ある日突然、ルーシーを見初めた悪徳判事タービンの策略により
無実の罪で逮捕、流刑されてしまう。

それから15年。

脱獄に成功し、再びフリート街に戻った彼が見たものは、
タービンの下で軟禁状態で暮らしているジョアンナと、
不幸に耐えきれず、ルーシーが毒を飲んだという話だった。
怒りに震えた彼は”スウィーニー・トッド”と名を変え、
タービン判事への復讐を決意、パイ屋の女主人ミセス・ラベットの力を借りて
理髪店を再開することに。
復讐を達成するため、犯罪に手を染めていくトッド。
彼が持つ自慢のカミソリがフリート街の人々の喉元を切り裂くのと同時に、
肉の調達に困っていたはずのラベットのパイ屋は大繁盛していく。。。

監督は、タランティーノと並ぶ
ハリウッドきってのオタク監督、ティム・バートン。
主演は、6作目のタッグとなるジョニー・デップ。
トッドの復讐に協力するラベットに、
バートンのプライベートのパートナーでもあるヘレナ・ボナム=カーター。
悪徳判事タービンには、「ラブアクチュアリー」
「パフューム ある人殺しの物語 」のアラン・リックマン。

ティム・バートン監督作品では初のR-15指定。


あらすじを読んでいただけば分かる通り、
本作はジョニー・デップ主演ではあるが、
「チャーリーとチョコレート工場」や「パイレーツ・オブ・カリビアン」のような
メジャー系作品とは全く異なるアプローチで制作されている。
「パイレーツ」あたりからジョニー・デップのファンになった、という方が
デップ目当てで観に行くと、あまりにも血まみれな展開に
後半で卒倒してしまう可能性も。
スプラッターが苦手な方は、まずはその点を覚悟して観に行くことをお勧めする。

血飛沫はどれだけ多くても無問題な私としては、
オープニングで流れるパイの製造工程が
「チャーリーとチョコレート工場」のオープニングで流れていた
チョコレートの製造工程を模した作りになっている時点でニヤリ。
その後も、「バットマンリターンズ」や「コープスブライド」、
バートン作品の原点とも言われている傑作短編「フランケンウィニー」などを
彷彿させるシーンが続々と登場し、
熱烈なバートンファンの私には何とも贅沢な2時間であった。

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
(C) 2007 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC. All Rights Reserved.
■BD:「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」
■DVD:「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 プレミアム・ボックス」
■DVD:「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 特別版」

ハサミ(シザーハンズ)をカミソリに持ち替え、
チョコレート工場の主から人肉パイ工場の主へと転身した
ジョニー・デップ演じるベンジャミン・バーカーだが、
本作は彼の復讐劇だけでなく、悪人と知りながらバーカーを愛し続ける
ラベットと、彼女を母のように慕う身寄りの無い少年トビーとの
三角関係にも比重を割いており、この点がミュージカル版とは異なる
バートンならではの特徴にもなっている。

ミュージカルを原作に持つ作品でありながら、
舞台的な演出は極力抑えられ、ジョニー・デップ他の出演者の歌唱も
「歌う」ことより「語る」ことを重視されているように感じた。
同じミュージカル作品の映画化である「シカゴ」や「ドリームガールズ」、
「ヘアスプレー」などより歌唱部分は見劣りするものの、
映画全体のバランスを考えれば、これはこれで正解であろう。
スティーブン・ソンドハイムのスコアは文句無しに素晴らしい。

切り裂きジャックを始めとする猟奇事件が頻発していた
19世紀という時代の物語であることや、
当時のロンドンの社会情勢などを知っておくと
より深くのめり込めることは間違いないので、
観に行く予定の方は、公式サイトなどで軽く予習しておくと良いかも知れない。

個人的には、ラベットを演じたヘレナ・ボナム=カーターが出色。
金銭感覚はシビアなくせに、色恋には盲目なラベットを非常に上手く演じていた。
彼女が夢見るバラ色の未来像(ほんの数分)だけが、
モノトーンで統一されたこの映画で眩しく光っている。
果たして彼女の願いは成就するのか。
三人の結末がどうなるのかは、是非劇場で。

ただし(以下、あらすじ後に戻る)


■CD:「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」

サウンドトラックCDは既に発売中。
ジョニー・デップよりヘレナ・ボナム=カーターと
アラン・リックマンの歌唱に惹かれて購入。
CD単体でもかなり楽しめる。


■DVD:「ティム・バートン×ジョニー・デップ お買い得パック」
■DVD:「シザーハンズ 製作15周年 アニバーサリー・エディション」

ジョニー・デップ&ティム・バートンのタッグ作品をいくつか。
昨年(2007年)末に発売になった「お買い得パック」は、
「チョコレート工場」と「コープスブライド」の2本セットで2222円。
Amazon価格は1600円強と激安。どちらも持っていないならお勧め。


■BD:「パフューム ある人殺しの物語」
■DVD:「フロム・ヘル」

たったひとつの願いを抱いて連続殺人に手を染めるバーカーの
歪んだ純粋さと悲劇的な物語は、昨年公開の「パフューム」に通じる部分も。
タービン判事を演じたアラン・リックマンが、
ここでは愛娘をさらわれる被害者として出演しているのも面白い。

切り裂きジャックにまつわるエピソードを描いた「フロムヘル」では、
ジョニー・デップが事件を解決する側として出演している。
アヘン中毒の警部という設定がいかにもデップらしい。

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  タイトル:スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
    配給:ワーナー
   公開日:2008年1月19日
    監督:ティム・バートン
    出演:ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、他
 公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/sweeneytodd/
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