2009年1月第4週発売の新作 | 忍之閻魔帳

忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)

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▼今週発売のDVD(洋画・邦画)


■DVD:「歩いても 歩いても」

今週発売の新作の中で、私のイチ押しは「歩いても 歩いても」。
公開中から何度も取り上げて来た作品がいよいよDVDで発売。
私的には、本作が洋画・邦画を含めた2008年度公開作品のNo.1だと思っている。
「誰も知らない」で柳楽優弥を史上最年少でのカンヌに導き、
「大丈夫であるように」ではCoccoの素顔を切り取ってみせた是枝裕和監督作品。


■YouTube:「歩いても 歩いても 予告編」

本作は、事故で長男を失った家族が久しぶりに集まった、
ある夏の日を描いた作品である。
現役を退きながらも、未だに医者としてのプライドが
支えになっている昔気質の父(原田芳雄)、出来の良い長男を失った
両親の期待に応えられず、いつしか実家から足が遠のいていた次男(阿部寛)、
次男の再婚相手のゆかり(夏川結衣)、楽天家の姉(YOU)、
そして、そんな家族をいつも笑顔でまとめている母(樹木希林)。
どこにでもいそうな家族の、大したことの起きない一日を描いた作品だが
淡々とした日常の中で、家族という輪が生み出す空気が見事に再現されている。

この作品が素晴らしいのは、「起承転結」「喜怒哀楽」の区別がないことである。
映画であれゲームであれ、大半の物語には起承転結が用意されている。
しかし、私達が日常生活していて、朝が「起」から始まり、
昼には「承」になって、夕方に「転」で夜に「結」、などということはまずない。
喜怒哀楽にしてもそうだ。
「喜」「怒」「哀」「楽」が、行儀良く順番待ちして訪れるわけではない。
「哀」の混ざった「喜」もあれば、「怒」の果ての「楽」もある。
ドキュメンタリーフィルムかと見紛うほどにリアルな物語は
テレビマンユニオン所属時代に多数のドキュメンタリー作品を手掛けてきた
是枝監督ならではのものであり、他の誰にも真似は出来ない。

本作は、是枝監督の母親が亡くなられた時に
「何もしてやれなかった」という悔恨の情を作品にしたのだと
公開時のインタビューで語っていた。
しかし、だからといって「東京タワー」のように感情を前面に押し出して
ワーワー泣きじゃくるようなことはしない。
悲劇の物語でも、感動の物語でもない。
「人生は、いつもちょっとだけ間に合わない」というコピーと共に
日本中のどこにでもいそうな家族の、ある夏の日を描いている。

樹木希林の母親役が絶品なので、現在続々と発表されている
映画賞の受賞ラッシュは納得&嬉しい。その他のキャストも全員文句なし。
ゴンチチのサントラCDも即買った。

10代の方にどこまで伝わるかは分からないが
20代後半以降で、親不孝を自覚したり、実家から足が遠のいている方、
作為的で調味料過多な物語に辟易している方は必見。

「blog珍品堂」のDr.K殿あたりがどう感じられるのか、ちょっと聞いてみたい。
(好みが近そうなので)


■DVD:「蛇にピアス」

20歳での芥川賞を受賞した金原ひとみの同名小説を、
二宮和也主演の映画「青の炎」も手掛けた演劇界の巨匠・蜷川幸雄が映画化。
主演は「転々」「きみの友だち」の吉高由里子。
スプリットタンや刺青といった題材を通して
痛みでしか生を実感できない若者の姿を描いたドラマ。
蜷川監督らしが出たという意味では「青の炎」よりも
ずっと監督らしい作品ではあるのだが、題材が題材だけに相当人を選ぶと思う。


■DVD:「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」

「歩いても 歩いても」がなければ今週のイチ押しにしていたのが、
「死ぬまでにしたい10のこと」「あなたになら言える秘密のこと」で
素晴らしい演技を披露していたサラ・ポーリーの初監督作品
「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」。
日本でも時折話題に上る、アルツハイマーを発症してしまった老夫婦の
葛藤と愛情を描いたヒューマン・ドラマ。
認知症の妻フィオーナを演じたのは「ネバーランド」
「あなたになら言える秘密のこと」のジュリー・クリスティ。
壊れてゆく妻を支える夫グラントは「シッピング・ニュース」のゴードン・ピンセント。
愛しているパートナーが、昔と変わらない姿を維持したまま
徐々に自分のことを忘れていくという恐怖と寂しさ。
妻の望むことが、自分ではない他の男性との触れ合いだとすれば
自分はどう対応すべきなのか。
好きだという感情を一方的にぶつけて、手元に置いておくことだけが
愛情表現ではないと口で言うのは簡単だが、行動するのは難しい。
その割り切れない感情の揺れが上手く表現されていて、
とても初監督作品とは思えない。
「死ぬまでにしたい10のこと」や「あなたになら言える秘密のこと」といった
イザベル・コイシェ作品との出会いがあればこその作品と言えよう。


■BD:「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ 1st BOX」
■DVD:「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ 1st BOX」

先々週にノーマルDVDのパート1を紹介した
「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ」のボックスが発売。
BD版の人気が高いが、ノーマルDVD版も少しずつ伸びてきている。
女性型のターミネーター、キャメロンを演じるサマー・グローが
リース・ウィザースプーンの若かりし頃を思わせてなかなか可愛い。


■DVD:「SEX AND THE CITY THE MOVIE COLLECTOR'S EDITION」
■BD:「SEX AND THE CITY THE MOVIE」

DVD市場的に見た今週のメインはこちら。
日本でも都市部を中心に大ヒットし「SATC」ブームを巻き起こした
人気シリーズの劇場版。ドラマファンの要望を満たせれば
それで万事OKという割り切り方は「花より男子ファイナル」に近いか。
シリーズファンならば文句なしにお勧め。

▼今週発売のDVD(その他)


■DVD:「超クソゲー」

「ゲームセンターCX」の二番煎じを狙った(と思われる)DVD。
取り上げるゲームは「バイオ戦士DAN」「スクーン」「エスパ冒険隊」
「バトル昆虫伝」「激突四駆バトル」「パンツァーフロントB型」の6本。
「パンツァーフロント」だけが妙に浮いている気がするのは私だけか。
メジャーどころを押さえている「CX」に比べて
題材のマニアック度は上だが、ここまでいくと知っている人がどれだけいるのか謎。
16日にゲーム事業からの撤退を発表したばかりのジャレコのソフトが多いので
ジャレコを愛していた方は必携か。


■DVD:「プロフェッショナル 仕事の流儀スペシャル 宮崎駿の仕事」

今週発売のDVDで最も多くの予約を集めているのがこちら。
NHKで放送されたドキュメンタリー番組のDVD化で
興収100億円を突破した「崖の上のポニョ」の製作現場や、
作品に込められた意図などを語った映像が収録されている。
「もののけ姫はこうして生まれた」以降、
ジブリからドキュメンタリーは発売されていないので、
作品の裏側を知る貴重なチャンス。ジブリファンならば必携だ。

▼今週発売のDVD(アニメ・アニメ関連)


■BD:「マクロスF(フロンティア) 6」
■BD:「機動戦士ガンダム00 7」
■BD:「コードギアス 反逆のルルーシュ R2 volume06」
■BD:「コードギアス 反逆のルルーシュ volume06」
■BD:「とある魔術の禁書目録 第1巻 初回限定版」

■DVD:「禁書発禁 Live@東京NHKホール 2008.10.3/ALI PROJECT」
■DVD:「ジャイアント ロボ 地球が静止する日 CUSTOM COMPOSITE BOX」
■BD:「機動戦士Zガンダム メモリアルボックス Part.II」
■BD:「魔法のプリンセス ミンキーモモ BOX 1」

▼今週発売のゲーム・アニメ関連CD


■CD:「女神異聞録 デビルサバイバー オリジナルサウンドトラック」
■CD:「レイトン教授と最後の時間旅行 オリジナル・サウンドトラック」
■CD:「FableII オリジナルサウンドトラック」
■CD:「真・恋姫†無双サウンドトラックCD 『天下三琴』」

▼今週発売のゲーム


■Wii:「FRAGILE/フラジール さよなら月の廃墟 サントラCD付き」

今週発売のゲームで最も多くの予約を集めているのが「フラジール」。
PS2用ソフトの中でも隠れた名作として知られる
「7 モールモースの騎兵隊」を開発したナムコのスタッフと、
「バテン・カイトス」「トラスティベル」のトライクレッシェンドが
共同開発したWii用オリジナル新作。
廃墟と化した街を舞台にした3人称視点の探索型RPGで、
孤独な少年セトが、祖父の遺した手紙を頼りに自分以外の生存者を探す旅に出る。
アニメーション製作は、OVA「FREEDOME」や
DS「ウィッシュルーム」を手掛けた神風動画が担当している。

廃墟と化した街の風景に力を入れたというだけあり、
懐中電灯を片手に暗闇を歩いていると
まるで自分だけが世界中から取り残された気分になってくる。
Wiiリモコンを懐中電灯に見立てたり、スピーカー部分を効果的に使用したりと
ハードの特性も上手く活かしている印象。
ただ、私が触らせていただいた段階では戦闘シーンの調整が甘かったのか、
単調な上に妙に難しかった。ここが直っていると良いのだが。。。

特典のサウンドトラックCDは装着率50%。
音楽面の完成度も高い作品なので、購入予定の方は是非特典付きで。
*17日時点では在庫切れになっているが、特典なしのページが
 用意されていないので、発売までにもう一度ぐらい復活するかも知れない
 購入予定の方はこまめにチェックを。

【関連記事】Special Report/手嶌葵(Apple Store)
iTMS:「光/月のぬくもり 手嶌葵」

主題歌を担当しているのは、私も全アルバムを所有している手嶌葵。
本作で使用されている「光/月のぬくもり」はiTMSで配信中。


■PSP:「ジルオール infinite plus 末弥純描き下ろし「アートステッカー」同梱版」
■Book:「ジルオール infinite plus ガイドブック 上巻下巻」

PSPからは、2005年にPS2で発売された
「Zill O’ll infinite」に追加要素を加えたリメイク作品。
2人の新キャラと、新キャラにまつわるイベント・エンディングを用意し
新規シナリオも20本ほど追加されている。
公式ガイドブックも同時発売。

PS1で初代「ジルオール」が発売された頃のコーエーは、
「封神演義」「DESTREGA」「That's QT」「ゼルドナーシルト」「西遊記」などの
オリジナル新作を次々に送り出した(私の中では)黄金期で、
「ジルオール」は、その中でもひと際高い評価を受けていたように記憶している。
「That's QT」はDSで、「ジルオール」はPSPで復活を果たしたので、
次は「ゼルドナーシルト」あたりどうか。


■Xbox360:「レフト 4 デッド(Z指定)

今週発売のゲームで「フラジール」に次ぐ予約数No.2がこちら。
「バイオハザード」というより、「ドーン・オブ・ザ・デッド」の
ゲーム化といった感じで、ゾンビの動きがやたらと速いのが特徴。
EAによると、先行販売されている海外版との違いはなく
残虐表現も北米版からマイルドになることなく移植されたようだ。

この手のジャンルの中ではマップも分かり易く、
画面酔いも少ない方で、見た目よりも間口は広い。
私のような下手っぴジジィでも手出しの余地があるのは嬉しかった。
一部ではボリュームが少ないとの指摘があるようだが、
なんでもかんでも数十時間遊べれば良いというものでもなかろう。

洋画的演出を意識しながらも、最終的には和製ゲームとして落ち着いている
「バイオハザード5」に対し、本作から漂う香りはバリバリのB級洋画ホラー。
これはもう、作り手の血の問題と言って良いと思う。
(どちらが上という話ではなく、あくまでもテイストの話)


■DS:「犬神家の一族」

DSからは、横溝正史の代表作「犬神家の一族」が発売。
TGS後に紹介済みなので、その時の記事を一部修正して再掲しておく。

大まかな印象としては、テクモの「西村」シリーズに近いものの、
より推理力を必要とされる、やや硬派なアドベンチャーといったところ。
グラフィックは墨絵のような雰囲気で統一されており
原作や映画とはまた違う昭和感を上手く醸し出している。
(血など一部の演出では赤も使用されるとのこと)
会話の中で得たキーワードをタッチペンで相手にぶつけることで
さらに話が展開するのだが、一度投げたキーワードは無くなってしまうため
投げるタイミングを慎重に選ぶ必要がある。

「推理」コマンドは「神宮寺」シリーズで言うところの煙草のようなもので
タッチペンでボリボリと掻くと、何かヒントを閃くという仕掛け。
新聞には捜査を続ける上で情報が掲載されている他にも
クロスワードパズルが載っており、息抜きとしてプレイすることも出来る。
この辺は「西村」の「West Village」を意識したのかも知れない。

原作とは異なる展開もあるらしいので、その辺が気になる方なら。


■Wii:「涼宮ハルヒの激動 超DXパック通常版」
■CD:「Wiiゲーム「涼宮ハルヒの激動」ボーカルアルバム」

Wiiでは「涼宮ハルヒ」シリーズが登場。
「超DXパック」には、海洋堂の「フロイラインリボルテック 涼宮ハルヒ 制服ver」と
「平野綾 Premiumムービーディスク」の2点が同梱されている。
特典ディスクはノーマルDVDではなく、Wiiディスクな点に注意。
これは、PS2版の特典ディスクがPS2用DVD-ROMだったのと同じ
版権上の理由ではないかと思う。

▼今週発売のゲーム(その他)


■PSP:「北斗の拳 ラオウ外伝 天の覇王 オリジナルポーチ付き」
■PSP:「廉価版・ラチェット&クランク5 激突! ドデカ銀河のミリミリ軍団」
■PS2:「廉価版・デストロイ オール ヒューマンズ!」
■PS2:「廉価版・ドリフトナイツ:Juiced2」
■PS2:「Piaキャロットへようこそ!! G.P. DXパック通常版」
■PS3:「プリンス・オブ・ペルシャ アートブック+サントラCD付き」
■PS3:「WWE 2009 SmackDown vs Raw」
■PS3:「廉価版・ドリフトナイツ:Juiced2」
■DS:「モンスター☆レーサー」
■DS:「鉄道ゼミナール 大手私鉄編」
■DS:「テイクアウト! DSシリーズ(1) 鉄道データファイル」
■DS:「トゥーボ」
■DS:「ラビッツ・パーティー TV Party」
■DS:「NEW 中学英単語ターゲット1800DS」
■DS:「味楽る!ミミカDS 初回限定レシピブック付き」
■Wii:「ラビッツ・パーティー TV Party」

日本色を出したローカライズという意味では
必見のPS2「デストロイ オール ヒューマンズ!」が通常版のセガから
THQに発売元を変えて廉価版でリリース。未経験の奇ゲー好きは要チェック。